あかり暗くして吾と語らふ

2008年01月12日 14:23

自分らしい生き方這いつくばっても
ツラヌイテ貫き通そう

くるりくるり 君の瞳は
輝くために天(そら)がくれたよ
くるりくるり 君の命は
悲しみ乗り越えて力になる


ナナムジカ  『くるりくるり』
できれば性的虐待など受けたくなかった。できればどころではなく、叶うなら時間を戻してほしいほどに。

わたしの心の中から見えない腕が生えてきて、少しでも風のある場所、光の射す場所へ向って伸びてゆく。今の心のあり場とは違う場所が、まるで叶わぬ願いの叶う場所だというように。

じりじりと時間をかけて心は燃やされていく。
一生という時間をかけてわたしは自ら燃えながら黒く焦げ、白く軽く空に舞い戻る。
わたしは消費されるものである。

或る日は赤子を抱くようにそっと言葉を抱く。
或る日は倒れては立ち上がり、言葉を書き殴る。殴っては打ちのめされ、また殴るために立ち上がる。
見えない腕はわたしの願いそのものであり、わたしの心の一部。……これもまた消費されるもの。わたしは腕を言葉にして消費しつくされる前に何かを掴もうとしている。
過去の体験を見せびらかしたいわけじゃない。「わたしの傷を見て、わたしの傷に触れて」と、過去の被害をわめきたててかまってほしいのじゃない。
<性>という言葉を武器にして遊んでいると思われるのなら、再び自分で自分を傷つけてその血をわたし自身に与えてやろう。荒っぽくそう思う。
わたしは自分の血でしか自分を癒せないヤツだ。かまってほしくない、のではなくその逆なのかもしれない。気持ちはいつも捻じれている。

(そんなに苛苛としなくてもいいのに)と自分の中でそっとつぶやきが出るほど、わたしは性をイメージする言葉と、表現にこだわっている。

他人の書いた文章を読んだあと「性は愛や正義と遠いところにあるよ」と一人、わらったりする。
「キレイ」の裏側にやましさや猥雑さがぽっかり浮かぶ。
――現実のわたしは貪欲な性も猥雑も不誠実も、愛ではないものも受け入れた一人の人間なのにね。

自虐と自己愛が縒りあってひとつの人間の心を構成している。だからわたしは壊れたがる。揺れて、ぶれて、ひとつにならない。
縒りあってひとつになった心は蠢く腕になり、壊しては抱き、嫌っては愛する。
たぶん灰になる日まで。

乞うのは揺るがない正しさ。ぶれない愛情。
そしてもし、願いが叶うなら時間を戻してほしい。
あのおじちゃんがいない場所に小さかったわたしを連れて行ってください。そして将来、愛する人のために自分の体を開く日まで、わたしを傷ひとつない体でいさせてください。
……けれどわたしの子どもが、わたしの代わりに同じ体験を背負うことになるなら。
神様、どうか願いをかなえず、わたしの人生のままにしてください。
リンクを貼らずただこの場から語りましょう、あなたへ

どうか軽く言葉に乗せないでほしい。あなたにとっての性が軽くないことは承知していても。
性の対象と同じ棚に並ぶ美しい商品を描きつづけるあなたにためらいを覚えます。
美しさに壁はないのでしょう。けれど、けれど、あなたの描くものは商品ではありませんよね?
※もし、職業人として描いてらっしゃるのなら謝ります。

正義を語ることに性の名がついたマクラが必要でしょうか。もしそれがたいせつなきっかけになったとしても、わたしは引いてしまうのです。
鋼のように強くてすらりとした刃のような言葉を使うあなただからこそ、違うマクラでも十分語るべき言葉は語れるのではないですか?
リンクを貼らずとも、事実はそこにあり、真摯に調べたいと思う人は調べて考えるでしょう。
重く考えるほどに言葉は止み、沈黙の中で個々の思考は練られていくのでしょう。わたしはそう思います。

発言こそが正しさではない。
発言しないことが、目を閉じ耳をふさぎ、口をふさいでいることではない。

ここに書いてあなたに伝えようと表現しているわたしは、あなたに近いのかもしれません。
耳をふさぎたくない、何か言いたい。
人を傷つけるつもりはなくても、心は見えない腕を広げて誰かを傷つけてます。たぶん今はあなたを。

冒頭の歌詞『自分らしい生き方這いつくばっても ツラヌイテ貫き通そう』……って強さに憧れます。
わたしの腕は常に何かを貫きながらあえいでいるのです。片方の腕で、どこにも行けずうずくまる自分をあやし抱きながら。
心のどこかで、強くありたいと願うあなたを恋うて抱きとりたいのかもしれません。
言葉の平等さを諮り、正義を貫こうとするあなたらしさを応援したいと思いながら、わたしは<性>というトゲに引っかかり、立ち竦んでいるのです。
もっとためらってほしいと願ってしまうのです。

わがままでしょうか。
記事を描いてる最中に、なんだかジャストミートな記事にコメントが入りましたが、コメントされた方に宛てて書いたわけではありません。